ニューズレター

2001年6月25日号より

歯周組織の審美的改善
日本歯科審美学会常任理事 伊藤公一

 歯周組織は、歯肉、歯槽骨、歯根膜およびセメント質より成り立っているが、正常な状態では、歯肉のみが外観に触れる。したがって、歯周組織の美を語るとき、主役は歯肉となりがちで、その他は脇役に回ることが多い。正常(健康)な歯肉色は、ピンク色あるいは明るいサンゴ色で、硬く引き締まって歯にしっかりと適合し、歯間部および歯肉辺縁部の形態は極めて審美的である(図1)。
 プラークによって歯肉に炎症が起こると歯肉の色や形態美が失われる。歯肉炎では、付着喪失や歯槽骨吸収が生じていないので、正常な状態に改善する。しかし、付着喪失や歯槽骨吸収が生じた歯周炎では、審美的のみならず機能的にも歯周組織が破壊される。
どのような名医でも付着喪失や歯槽骨吸収が顕著になった歯周組織を正常な状態に再構築するのは困難である(図2)。また、重度歯周炎患者から、歯周治療後、歯間空隙が広がった、歯が長くなったなどのクレームがつくことがある。健康美、機能美を獲得しても、外観美が揖なわれ、心理的にも悪影響を起すことがあるので、歯周治療開始前のインフォームドコンセントは重要である。
 歯周病予防および歯周治療にプラークコントロールおよび咬合管理を主体とした口腔ケアが不可欠である。しかし、これらの因子以外に、喫煙、飲酒、甘味食品、軟食、ストレスなど生活習慣と関連する危険因子は多数ある。人生80年の時代において、健康で審美的な歯周組織ならびに全身状態を生涯維持するうえで、ヘルスプロモーションを基盤とした正しい生活習慣形成が重要である。

図1(左):正常で、審美的な歯周組織。
図2(右):重度歯周炎患者の治療後。発赤、腫脹が消退し、ポケットは浅くなり、健康になったが、審美的ではない。


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