ニューズレター

2001年6月25日号より

真に魅力的なスマイルのために
日本歯科審美学会理事 黒田康子

 経済的発展・社会的成熟とともに日本の社会が審美性を重視するようになっていることは異論がないであろう。審美歯科の需要の伸びと同様に、ここ数年、成人の矯正患者の増加は、目覚しいものがある。患者が我々のもとを訪れるのは、まさに見映えを良くしたいのである。従来から矯正治療の診断の過程において歯並びだけでなく、顔貌の美しさ、スマイルの美しさは重要なポイントである。
 もっとも患者からは評価されないものの、矯正医として機能的で安定した治療結果をゴールとすることは言うまでもない。形態的に正しい咬合を目指すことは良好な口腔機能の必須条件である。成人の場合でも、上下前歯の移動によりかなりの口元の改善が得られるが、骨格的な修正には限界がある。さらに外科手術を併用すれば、3次元的に大幅な修正結果が安定して得られる。ここで大切なことは、患者の希望である。審美性は我々が決めるのではなく、患者次第であるということを忘れてはならない。矯正歯科ではしばしば計測値が一人歩きしたり、術者の好みが優先したりして、偏った結果を招くことを十分に心に留めておく必要があろう。
 矯正材料の進歩は、穏やかな持続的な力を生み出し、舌側矯正装置や、透明な美しいセラミックの装置の使用により、治療中も審美的で効率の良い治療が可能になってきた。それぞれの患者の基底骨に正しく歯を排列することにより、審美歯科の修復は一層美しい長期の安定性を持った結果となることは、全ての審美歯科医が認めるところであろう。
 美しい魅力的なスマイルという顔の審美性と、それを通して人々の幸福に貢献できる、真の美の供給者たるべく、ともに精進しようではありませんか。


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