ニューズレター

2003年8月号より

会員のみなさまへ

21世紀の審美歯科
─健康科学としてのトータル・コーディネート─

日本歯科審美学会監事・前会長 岩久正明

 本分野では今、急速に進歩する学理・機材・技術のもとで、多様化する国民のニーズにいかに応えていくかが問われている。しかし、それはただ国民の求めにいかに応ずるかのようなイメージを持たれ、一般医療についての最近のマスコミ等によるインフォームドコンセントについての表現も、そのように理解されがちである。
 しかしながら、特に21世紀の審美歯科学、歯科審美医療においては、メディカル・ケアー・プロフェッショナルとしての本来の責任は、そのような受身の姿勢ではなく、患者一人一人に、個性豊かで、心身ともに健康で、高度なQOLにもとづく充実した社会生活を演出できるトータル・コーディネーターとしての資格が求められる。我々の分野は、顎・顔面・口腔がその中心であることは言うまでもないが、それらが常に、まず人の存在の第一印象になることを考えると、トータルはそこから始まる。歯科審美としては、従来から取り組まれてきた形態・色彩・機能美などの見える審美から、口臭などの見えない審美、言葉のように耳で感じる審美、美しさ・醜さを時として表情で感じさせる心の審美、その範囲は極めて広いが、いずれも、われわれの専門分野とは切っても切れない関係にある。しかも、人々は相互に、それをあらゆる感覚で認知する。
 本学会は、過去15年余に亘って、各種専門分野の多才な人材により、地味ではあるが、充実した学際的研究活動を続け、これまで蓄積してきた成果を、学術学会のみならず、多角的セミナーを開催し、多くの会員へ還元すべく積極的に取り組んでいる。
 その目的は、クリエイティブな姿勢で個々の患者にオーダーメイドの対応ができる審美の専門家・すなわち認定医を世に出し、社会に貢献することにある。
 現代社会では、充分な情報の提供は専門家としての社会的責任であり、本学会もホームページに認定医を公開することに踏みきった。その数は現在あまりにも少ないが、学会員の臨床家の中には多くの優秀な専門化足りうる人材が見受けられる。どうぞ、速やかに、申請をして、社会の要請に応えて頂くことを希望している。


Back