2006年 Winter Vol.12 (2006年1月発行)より
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日本歯科審美学会 副会長 佐藤 孝 |
会員諸氏におかれましては新しい年2006年を迎え、様々な想いを抱きスタートされていることと存じます。
歯科界においても次々と難問が析出しております。その中でも昨年の郵政民営化に続き、今年は医療改革が推し進められることでしょう。増え続ける医療費に対処するために医療費の総量規制が検討され、現に医療費は大幅に制御され、全体で3.16%の削減という厳しい状況になってきております。今後この環境は大きく変わることはないでしょう。
一方、団塊の世代がリタイアを始める2007年を1年後に控え、日本は益々高齢社会になり、社会構造が変わろうとしています。このような社会変化の中で、私たちは歯科医療をどのように行っていけばよいのか戸惑い、その打開策を見出せずにいる歯科医療従事者がなんと多くいることでしょう。歯科医療は長い間疾病の治療という治療医療を中心に行われ、そして、その後の機能回復のための修復治療へ力を注いできました。
そして近年は、病気の再発を防ぎ予防をするための予防医療が重要視されていますが、反面人々の医療に対するニーズもそれ以上に多様化し変化しております。現在の社会は豊かになり、多くの価値観が存在しています。その中で歯科医療に対しても同じように人々の望むものは多種多様です。人々は単に疾病の不自由からのがれることのみならず、いかに自分の生活の質を向上するかに価値を見出すようになってきています。それは単に病気というマイナスの状態を改善しゼロにするだけの医療では満足せず、更にプラスの状態を創り出し、自分の人生をより豊かにしようとする欲求です。
そのために、これからの歯科医療はプラスを創り出すための医療が求められる時代であり、その中で審美歯科はその欲求に応えるものでもあります。そのためには、審美歯科を単に歯の色や形の問題としてとらえるのではなく、健康と美と機能によって裏打ちされたものとして考えなくてはなりません。世の中の人々は「体に害がなく、自然な感じで、きれいで、若々しさを維持でき、心地よく機能してくれる」ことを無意識に欲しているのです。
私たち歯科医療者は単に治療するだけではなく、また、機能回復を主とするのでもなく、予防を含めよりプラスを創り出す医療に挑戦し、人々のQOLに貢献して始めて大きな価値が出てくるのではないでしょうか。世の中の大きなトレンドに歯科界は乗り遅れてはなりません。そして、いつも改革派として行動することが必要でしょう。
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