このたび、2025年6月より一般社団法人日本歯科審美学会の理事長を拝命いたしました。身に余る光栄とともに、その責務の重さに身の引き締まる思いです。歴代の理事長ならびに諸先輩方が築いてこられた本会の伝統と理念をしっかりと継承しつつ、時代の変化に即した新たな価値を創出し、さらなる発展に尽力してまいる所存です。会員の皆様におかれましては、変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
近年、歯科審美領域においては、デジタル技術や材料科学の目覚ましい進歩により、診査・診断から治療計画の立案、さらには補綴物の設計・製作に至るまで、かつてない高精度な医療が可能となっております。これにより、審美性のみならず機能性、生体親和性、安全性といった多面的価値を有する歯科治療の提供が実現しつつあります。これらの革新技術をいかに的確に臨床へと落とし込むかは、我々に課された重要な使命です。
一方で、審美歯科は患者の期待や満足度と直結する分野であり、そのニーズはより多様かつ高度なものへと変化しています。ゆえに、単に技術を追求するだけでなく、科学的根拠に基づいた診療判断、そして倫理的・人間的配慮をもって対応することが、歯科審美に携わる我々専門家に求められています。
本会としましては、これらの時代的要請に応えるべく、学術活動や教育・啓発事業のさらなる充実を図ってまいります。また、会員の皆様が自由に学び、交流し、知見を深め合える多様な機会を提供するとともに、次代を担う若手人材の育成にも積極的に取り組んでまいります。
今後とも、日本歯科審美学会の活動にご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。